雇用調整助成金 「現場の話」

中沢源雄(スワサブロー)@商工会議所スタッフ

2020年04月05日 11:48

新型コロナウイルス感染症対策の影響で「雇用調整助成金」の問い合わせが多くなってきています。

以前、長野労働局に伺ったところ、この助成金は「飲食、サービス業」の利用は少ないそう。
その理由は…個々からが「現場の話」です。


◯そもそも「雇用保険の適用事業所」ではないとこの助成金は使えない

これが大前提となります。

適用事業所とは「雇用保険適用事業所設置届」という手続きをして「雇用保険事業所番号が付与」されている企業になります。

この設置届が出来る企業は、雇用保険の「被保険者」になれるスタッフさんのいる企業に限ります。

「被保険者になれるスタッフさん」の基本の「き」は「週20時間以上働いている」「31日以上連続雇用される」ですが、その他詳細は下記をご参考にしてください。

◼the owner(雇用保険の「適用事業所」とは?雇用保険の加入要件や手続きのまとめ)
https://the-owner.jp/archives/451

◯被保険者になれるスタッフさんがいても設置届けを出していない企業が存在する

そうなんです。コレが「現場の話」なんです。
理由は色々ありますが、そのような企業は…確実に存在します。

そして、そのような企業は今回の助成金を利用することは出来ません。


◯ぢゃ、特例を利用して今から設置届を出して利用すればいい

新型コロナウイルスの影響で下記の特例が出ています。



『6か月以上の被保険者期間が必要』要件が撤廃されているので、被保険者になってすぐに対象になることが出来ます。

これを利用して、すぐに設置届けを出して、手続きをすれば使えるようになる…

そう考えがちですが、ココで一つ覚悟を決めなければならないコトがあります。

●本当は被保険者がいたのに届出をしていなかった。
●そのため既成事実(スタッフが被保険者となった日)にさかのぼって企業負担分とスタッフ負担分の「保険料」が請求される。
●上記は最高2年間逆上られる。

そうなんです。「保険料」が発生するんです。
企業だけならいいんですが、スタッフさんからも…(内緒ですが、スタッフさん分は企業が負担すればいいんですが)

この事をお伝えすると、「検討するわ~」って。


◯雇用保険はスタッフさんの生活を守るもの
スタッフさんは、企業とともに働いていて、その企業で働けなくなった、働きづらくなったとしても、その生活を守る制度です。
「経費」として考えるのではなく「給与」として考えていただけたら嬉しく思います。

関連記事