政府には中小・小規模企業の発展のため支援策を専門的に考え実行している「中小企業庁」という経済産業省の専門的な組織があります。
全国の商工会議所や商工会は、この中小企業庁の用意する支援策に基づき支援事業を行っています。

つまり日本における中小・小規模企業支援の基本となっている組織といっても間違えではありません。

その基本は時代と共に変化しており、戦後はとにかく経営能力を諸外国と同じくらいに引き上げること、この方針がずっと続いていました。

2014年(平成26年)その方針が大きく変わります。

その背景は諸外国にも負けない経営能力の水準を備えた事業者が増えてきたこと、そして事業環境があまりにも短期間かつ大きく変化することから「時代の変化に柔軟に対応できる経営能力を持った事業者を増やすよう支援すること」と方針が変わりました。(高度成長期から本格的な熟成期に入り今までの支援内容では効果が薄い…ということだと思います)

※詳しくは「第1回伴走支援の在り方検討会事務局資料(中小企業庁) 2ページを参照」


それに伴い「伴走支援」という言葉が造られ、均一的な集団支援から『再現性の高い個者支援』と支援方法も大きく変わりました。

そして新型コロナ禍の今、その方針が

「企業の自己変革を妨げる障壁を自立的かつ持続的に乗り越えられる状態に導く伴走型支援」

に変わろうとしています。


※第1回伴走支援の在り方検討会事務局資料(中小企業庁) 10ページ



これを上記資料を元に細分化すると

「事業者が経営課題に気づき」
「その課題を作っている原因に気づき」
「その原因解決ため自発的に行動を起こせる」

このような事業者が1者でも増えることが方針になります。



つまり、商工会議所や商工会等経営を支援する者は「いつかは離れる」ことが明確に記載されたました。


アクティブラーニングが進む学校の先生は「教えない先生が名先生」という言葉があるそうです。

優秀な生徒を囲い込み、いつまでも自分の支配下に置いておこうとする先生は、決して良い指導者とは言えません。

先生と生徒には、遅かれ早かれ、必ず離れる時期がやってきます。

少なくともその時期までには、生徒が自然に「先生離れ」が出来る状態を作っておきたいし、先生が居なくても自分の意志で生きられるよう支援していかなければなりません。


コンサルタント先生の中には依存させて長きに渡り収益を得るビジネスモデルで経営をされている方もいるように感じます。
そう考えると優秀なコンサルタントは「いずれ離れる」を実現できる方だと言うことも理解できます。


手前味噌になりますが2014年上記の大変革で商工会議所や商工会は中小企業支援の事業計画「経営発達支援計画」を国に提出しています。
当会議所も本年度より新たな計画のもと支援を実施しています。

その計画で示された「支援基本」が内部的にも外部的にうんとザワつきました。
その内容が下記です。

◯諏訪商工会議所の支援基本
「人(事業者)は自らの意思でしか変わらない」当所の支援の基本とし、
商工会議所が主体者ではなく、事業者の意思で「経営改善」「経営発達」が推進するよう支援する。
「商工会議所の支援がないとうまくいかない」「常に商工会議所の支援を必要とする」状態にならないよう「自己実践力を高める」事を意識する。

そして商工会議所の役割は「自己実践力を高める」までと明記してあります。

申請当時は色々とありましたが…今となってみれば「考えは間違っていなかった」と胸を張ることができます。


※多面をタッチすると諏訪商工会議所の支援計画が読めます。上記は7ページです。
※他の商工会議所、商工会の計画も公開されています。

「人(事業者)は自らの意思でしか変わらない」
変わるために「興味」⇒「関心」といった感情の動きがあると思います。

上記の図にもありますが事業者さんが意図をもって行動を起こすようになるにはとてつもなく労力と時間そしてタイミングが必要だと思っています。
難易度はメチャクチャ高いですが、少しでもお役に立てるよう支援をと止めないように行動していきたいと思います。

【参考資料】
第1回伴走支援の在り方検討会事務局資料(中小企業庁)
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/bansou/001/003.pdf
タグ :商工会議所

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プロフィール
中沢源雄(スワサブロー)@商工会議所スタッフ
中沢源雄(スワサブロー)@商工会議所スタッフ
中小企業を応援する長野県内の商工会議所に勤務するスタッフ。
企業で働くスタッフさん等すべての方が安心できて、生き生きと働ける地域社会になることが夢。
自転車活用研究会4Jチーム諏訪スタッフ。
MTB、Trekking、Ski、山菜huntingと自然の中で遊ぶのが大好き!でも、アウトドアの不便さは苦手…
座右の銘「単純なバカでありたい。